アンチブロッキング性高強度重袋の製造

 メルトフラクチャーとは、プラスチックの形成時に、形成品吹き出し口におけるずり応力がある臨界値を越すと発生し、形成品の表面が波立つ現象です。これが発生すると製品の表面が荒れて売り物にならないので、プラスチック形成業界では非常な嫌われものです。
 当社では、このメルトフラクチャーを制御して、内面だけに微妙なさざなみを発生させ、アンチブロッキング性の顕著に改善された、しかも強度も従来製品よりかなり改善された重袋の開発に成功しました(特許申請中)。このIPFでは、当社で新たに開発されたアンチブロッキング性の重袋製造の原理と、製造装置について報告します。

原  理 

 メルトフラクチャー発生の臨界ずり応力は顕著に温度に依存します。温度が下がれば臨界ずり応力も大きく下がります。そこで、インフレーション法でРЕやLLを製膜する際、吹き出しダイの内側ブロックの温度を外側の温度よりある巾で低くなるように精密に制御します。吹き出し口におけるずり応力は内外面同じですが、温度差をつけることによって高温の外側は臨界ずり応力より小さく、低温の内面では臨界ずり応力に達する条件を設定すれば、外側の表面は滑らかで、内側だけに微妙なさざなみの発生したアンチブロッキング重袋を製造することが出来ます。

 

製造装置

 上述のように、インフレーション装置の吹き出し口の内外に温度差をつけ、これを精密制御することが必要です。そのために、ダイの内側ブロックの温度は内冷空気により外側ブロックよりまずある巾下げます。しかしこれでは、温度差を精密制御できませんから、内側ブロックの吹き出し口近くに、リング状ヒーターを埋め込み、このヒーターをフィードバック制御することにより、温度差を一定に保ちます。
 なお新しい製造装置では、ダイの直径を従来より小さくし、ブローアップ比を上げることで、フィルム面内の高分子の配向の程度を上げ、引き裂き強度等も従来品より20%程度改善された高強度重袋を製造できます。

 

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